S30Zを個人売買で (後編)

中古車は見て、触れて、試乗してから買いたい

モノの大小に関わらずネットを介して何でも通販出来るようになりましたが、やはり中古車は実際に見て、触れて、試乗して、出来ることなら前オーナーの人となりを通して使われ方なども知りたいものです。

いかにアメリカがS30Zを世界で最も売った国だといっても、すでに40〜50年が経過しました。現存数も減り、程度のいいタマを探すのも一苦労する今日この頃です。

因みにニッサン自動車広報部の資料やNISSAN Motor Companyが1978年に出版した海外向けの本、“DATSUN 280ZX”の記載を参考にすると、アメリカでの販売台数はこうなります。

1970年=16,215

1971年=33,684

1972年=52,628

1973年=45,558

1974年=40,172 / 2+2=9,499

1975年=40,216 / 2+2=11,594

1976年=45,766 / 2+2=13,792

1977年=54,594

1978年=62,699

Total=42万6,417台

一説には1969年にもかなりの数が輸出されたとありますし、1978年はフルモデルチェンジした130Zが含まれているでしょうから合計の数字は定かではありません。

しかし日本国内ではトータル約8万台が売られたとされているので、5倍近い台数が見て取れます。

アメリカには日本の5倍のS30Zがあった!

乗りつぶされた? 激減するS30Zたち

ところが実際にクルマを探してみるとタマ数の少なさに悩まされます。まともな個体が残っていないのです。

街で見かける頻度は日本よりも少ないといえるでしょう。世の中に全然走っていない。

5倍という数字はどこへ行ってしまったのか。

また、今やコレクターズアイテムとしてアメリカ国内でも高い評価を受けている車種なので、綺麗な個体はとても高価になってしまいました。

ロサンゼルス近辺で半年ほどじっくりと探してみたのですが、結局コレというモノには出会えません。

そこで自宅から片道400マイル(640キロ)圏内に範囲を広げ、クレイグズリスト(Craigslist)で遠くサンフランシスコ、ラスベガス、フェニクスまでを探ることにします。

※クレイグズリストの使い方はこちら

理想はフルノーマル。

アメリカ人がガチャガチャと手を入れたクルマだけは避けたいです。

遂に運命のS30Zと出会う!

距離を広げて待つこと2週間。我が家から300キロ離れたカリフォルニアの田舎でよさそうな売り物が出てきました!

1977年式のワンオーナーカー、フルノーマル。予算内。

走行距離は8万マイル。日本の感覚でいうと8万キロ程度ですね。

年式相応のヤレはあるけど、走りはバッチと書いてあります。

とにかく見てみたい!

早速オーナーにコンタクトを取り、翌日の午後には実車を目の前にしていました。

買います、買います、明日取りに来ます!

ひどくのどかな所でした。

アルパカと山羊と巨大なゾウガメが庭を走り回っています。

ゾウガメってめちゃくちゃ動きが速いのですね!

こういう所にこそ掘り出し物が眠っているのかも知れません。

オーナーはすでにおじいさん。新車で購入しから長いこと乗っていたけれど、さすがにもうスポーツカーは疲れてしまう。最近ではひと月に1回も運転しなくなっていたと言います。

ボディや各部のシーリング類、運転席の破れにダッシュボードのヒビ割れ、センターコンソールにクラックなどもあり、情報通り年式相応です。

しかし隅々まで目を向けてもサビがない。うっすらとサビかけている箇所すらない。

オーナーがこのS30Zを大切にしていたことが、彼の表情やクルマに接する態度、そして現物からもうかがえます。

また、事前に日本の旧車屋さんの友人からチェックリストをもらっていたのですが、どこにも問題点はありませんでした。もちろん事故歴もなし。

試乗。キーを渡してくれたので近所を20分ほど走ってみたところ、L28がブンブンと気持ちよく回る、回る!

多くのユーザーがL28はイジらなければ走らないとか、ビックリするほど遅いとか、特に昔のインジェクションは頭が悪いのでダメだ……とネガティブなことをおっしゃるので覚悟はしていました。しかも40年前のエンジンだし……。

イヤイヤイヤイヤ、速いです。じゅうぶんに速いです。

きれいに上まで回ります。

めちゃくちゃスムースでトルクフルです。

L28は紛れもなく名機です!

気に入った!

そしてもうひとつの決め手がこれ。

リアハッチを開けたら純正スペアタイヤ、ジャッキ、工具、オーナーズマニュアルに加え、新車時にディーラーで張られているウィンドウステッカーなども残っていたのです。

なんかよくないですか?

明日取りに来ます!

私はポケットの$500をデポジット(預け金)としてオーナーに手渡し、その日は家路を急いだのでした。

これがアメリカンスタイルの納車だ!

翌日近所の友人からダッジラムを借り受けると、引っ越し用トラックなどをレンタルしてくれるユーホール(U Haul)で車載トレーラーを借り受け、再度300キロの道のりを戻りました。

ラムの使用料はガス満タンと洗車と、ご飯1回分。

トレーラーは24時間の基本料金が$54.95に税金や保険などを含めて、日本円で約1万円となりました。

ロードサービスに聞いたところ、自宅まで運んでもらうと$500だったので、十分に低く抑えられたと思います。

何より楽しいですよね。

途中でハンバーガーとコーヒーを買って好きな音楽をかけながら新しい相棒を引き取りに行き、ドナドナと帰ってくるまる1日のショートトリップ。

ここからS30Zと私の生活がスタートするのです。

※トップの黄色い240Zはアメリカで「Zの父」として親しまれていた“Mr.K”こと片山豊氏がニッサンUSAの社長時代に所有していた愛車で、引退する際に長年彼の秘書を務めたジョニー・ウエダ・ガブリエルさんに贈ったものです。こちらではレジェンドカーとして各地のイベントで人気者。助手席に座っている女性がジョニーさんです。

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