S30Zのシートを貼り替えよう

齢(よわい)ゴジューを過ぎると身体のあちらこちらに不具合が生じるのは、きっとこれを読んでいる皆さんも同じことでしょう。調子に乗ってジョギングを始めればたちまち膝が笑い出すし、ヨガの体験コースですら筋肉痛に泣く老朽化。腰痛との付き合いは25年を超えました。かつては痩せ我慢すら男とのロマンとスカしていましたが、今では我慢が身体の痛みへと変換される今日この頃。私は痛いの嫌い。旧車との付き合い方も現状の自分に合ったスタイルに変えていく必要があるようです。

第一弾、運転席のシートをリペアしました。

目次

S30Zの旧いシートは腰痛の天敵

Zの購入時からボロかったシート。ところどころ裂けてしまった箇所には黒いダクトテープを貼りバイクのようにしのいできました。しかしもう限界です。暖かい日は溶けた糊がネチョっとズボンを汚し、粘着力を失った子はクルマを降りた時にペロッと尻に付いてきます。そもそも44年を経過したクッションは弾力を失ってリジッド状態でまぁ腰に響く。長距離はもってのほか、近頃はちょっとその辺へ買い物に出かけることすら躊躇するようになっていました。

いけませんね。典型的な負のスパイラルの入り口です。

痛い、辛い、面倒くさいが重なると旧車に乗る機会はどんどんと失われていきます。

シートの中のアンコをリフレッシュしてシート地を張り替えれば、きっと身体にも心にも優しいはず。

 

S30Zの旧いシートはめっちゃ臭い?

また、近頃は車内のイヤ〜なニオイも気になっていました。動物臭に酸味が混じったようなニオイです。自分の足の裏を含め車内をくまなく嗅ぎ回ったところ、原因はシートだと気付きました。

S30Zの純正シートを貼り替える

シート地は左右セットで$249.95

Upholstery Kit, Basket Weave Style, Black, 77-78 280Z

アメリカでは前期、後期共にたくさんのメーカーから様々なスタイル、例えば刺繍入りや個性的でカラフルな純正仕様の張り替え用シート地が既製品として発売されています。その中から私が選んだのはオーソドックスなブラックタイプ。左右2座分がセットになって$249.95でした(写真は1座分。これが2組入っています)。1977-‘78年専用。

素材はビニールレザー。純正に比べて厚みを感じ、ツルツルと滑るわけでもなく、いい感じの感触。ジーンズなどとも馴染みそうです。内側には薄手のスポンジを内包しスキン自体にクッション性を持たせてあります。

アンコは1座分$168.87

Molded Foam Inserts, 70-78 240Z-260Z-280Z (per seat)

まっさらなウレタンフォームは座面と背もたれ&マクラの2ピース構造で、1座分が$168.87。今のところ助手席は痛んでいる様子がないので今回は経費削減、運転席分だけを購入しました。

ニオイと汚れは椰子が原因

ボディとシートレールを留める4本のボルトを外してシートを取り出すと、下はご覧のように汚れていました。砂ではありません。椰子の繊維です。

通気性に優れているのでしょうか? または弾力があって丈夫だったのかな? 昔のZのクッション素材には椰子の繊維が使われていました。これが経年劣化でボロボロと崩れてくる。と同時に芳ばしい動物臭を発するのです。

 

開けたら地獄、S30Zのシート

そしてシートをバラしてビックリ!!

44年間のケツ汗、ケツ汁、腋汗、背汗、皮脂、角質、執念、怨念で煮しめた具が出てきたではありませんか。こりゃ臭うわなぁ。今までこの上に座っていたかと思うとゾッとしますね。あちこち痒くなります。早いとこ張り替えてしまいましょう。と、奮闘すること6時間。

私でも出来たので作業工程自体は決して難しくはないのでしょう。シート地セットの中には張り替え手順を記した説明書に加え、写真のようにシートとフレームを結束するファスナー(金具)と(それをクルッと丸める)専用工具も含まれていました。

ただし特別なコツやテクニックが必要ないかわりに、シート地の中にフォームを押し込む際は力ずくです。アメリカのYoutubeを見ても皆さん強引にねじ伏せているところがあるので、必ず苦労するポイントなのかも知れません。

後はバラした時と逆の順序でリクライニングレバーなどを組み上げて、はい完成!

腰にも鼻にも優しいS30Zの新シート

表面にシワが寄ってる! のはこの際、目をつぶりましょう。あくまでも既製品です。暑い日に伸びて寒い日に縮んで、次第に馴染んでくると思います。

それよりも乗り心地がアップしたのが嬉しい。まだフォームが新しいので若干座高が高めではあるものの、バフッとしたクッションがお尻を優しく包んでくれます。適度な硬さも同居して、腰にもいい感じ。フォームは無臭。ビニールレザーの香りは新車のそれと似ています。これからは恐れることなく長距離ドライブが楽しめる。

Zと私の距離がまた少し縮まったことでしょう。