クルマやバイクの取引システムがとても簡略化されているアメリカ。新車を購入しようとディーラーに立ち寄れば、1時間後にはカギを渡されお持ち帰りが可能です。個人売買の場合は1枚の書類に売り手と書いてがサインをし、お金を払ってハイおしまい。世界一の自動車大国では、まるで電化製品を買うがごとく日常的に、そして気軽に取引が行われているのです。
ここではZ1000Mk2を購入した際の状況をもとに、カリフォルニアにおける個人売買時の必要書類の記入方法をご紹介します。
目次
掘り出しもの探しはCraigslist(クレイグズリスト)
私が個人売買で主に利用しているサイトは、ebayとCraigslist(クレイグズリスト)です。
ebayは皆さんご存じの、巨大なオークションサイト。
クレイグズリストは個人売買専門で、掲載や商品の販売時に登録料&手数料など一切かからず、その分多くの人が投稿、また閲覧しており、とても盛り上がっているサイトなのです。
時間のある時にちょこちょこ見ていると時には掘り出しモノも出てきたりして、旧いクルマやバイクを探している方にはおすすめです。Z1000Mk2は知り合いのつてで購入しましたが、S30ZやKZ550はクレイグズリストで見つけました。ただし業者も目を皿にしてチェックしていますから、Z1やZ1000MK2、カワサキの空冷2ストロークなどはアップされてもたちどころに売れてしまいます。
クリーンタイトルが絶対条件
気になる個体が見つかったらサイトを通してemailでやり取りし(自分のメールアドレスが直接伝わらないシステムなので安心)、ちゃんと信用できそうな相手だと確信したら電話番号などを交換して、いざ現車を見に行くという話になります。その時に確認すべきは、「タイトルがクリーンか」ということ。
タイトルとは
CERTIFICATE OF TITLE
所有権証明書
車両(クルマもバイクも)のオーナーは必ずDMV(カリフォルニア・デパートメント・オブ・モーター・ビークル。日本の陸運局のような存在)から発行されたこのタイトルを所有しています。
VEHICLE HISTORY
右上のこの部分に何も記載されていない、つまりクリーンなものが理想なのです。
もしSALVAGE(サルベージ)と書かれていたら、大きな事故歴があるか元盗難車なので、私ならその個体は諦めます。
たとえクリーンであっても、オーナーが毎年DMVに納めなければならない登録料(アメリカに車検はありませんが、毎年DMVに登録更新を申請する必要があり、その都度お金がかかります)を支払っていなければ累積し、おまけに罰金まで科せられます。知らずに購入してしまうと、彼の不払い金+罰金を全部背負うことになるので、必ずオーナーに確認することが大切なのです。
特に旧い個体に多いケースですが、故障をすると放置状態に入りがちです。すると「乗らないのに毎年お金を納めるのはもったいない」と思い、支払いが滞る。累積される。知らずに買ってDMVに行ったら、莫大な金額を要求される。もちろん支払わなければ名義変更ができない……という最悪のシナリオが待っているのです。
しっかりとしたオーナーであればDMVにPNO(プランド・ノン・オペレーション。車両を動かしません登録)を申請しているでしょう。DMVは毎年登録更新の是非を聞いてくるので、今後公道で走らせる予定がない場合はPNOの申請をするとよいのです。これは初めに僅かばかりの金額を支払うだけで何年間も無料で延長できます。車検切れのまま登録は切らさず、毎年の自動車税も支払わなくていい、みたいな走らない旧車には理想的な状況。
のちに走らせたくなったら一定額を支払いPNOを解除してもらう。その際の金額もたいしたことないと聞きました。私は払ったことがないので分かりませんが。
タイトルの記入方法
いざ購入を決めたなら、タイトルに売り主の名前と日付を書いてもらいましょう。
①当日の日付
②売り主のサイン
③当日の日付
④売り主のサイン
とにかくこの4つが記入されていれば問題ありません。
お金を支払い、タイトルと一緒に車両を持ち帰る(乗って帰る)ことが出来るのです。そしてニューオーナー(自分)は購入日から10日以内に最寄りのDMVに足を運び、名義変更の手続きを行いましょう。
タイトルにはニューオーナー(自分)が記入しなければならない箇所もありますが、私の場合はいつも空欄のままDMVに行き、その場で「ココ書いて、コレ書いて」と言われるがまま従うようにしています。おっちょこちょいなので余計なところに変なサインでもしたら大変そうで……。
今回の個人売買による車両の販売価格(自己申告制)に従って登録料が定められるので(私のZ1000Mk2は$191でした)、その場で支払って名義変更は完了。すると数週間以内に私の名前が記載された新しいタイトルが自宅に届きました。
逆に私が売る立場になったら前記した①〜④を記入して、車両と一緒に引き渡すだけです。
また、タイトルをぺろんとめくると上にご覧のシートがキリトリ線で付属しています。Notice of Transfer and Release of Liabilityは車両の権利を手放す証明。売り手はこれをビリっと破り、青字の部分はニューオーナーに記載してもらい、赤い部分の氏名、住所、走行距離、販売日、販売価格、自分のサインを書き込んだら5日以内にDMVに送るか、面倒な方はオンラインで済ませてもOK。何しろやることはめちゃくちゃシンプルでスピーディなアメリカです。
個人売買の鉄則は現金払い
アメリカ人は個人間のお金のやり取りに銀行振り込みをめったに使いません。なぜなら振り込む方も振り込まれる方も大きな手数料を取られるから。私が使っている銀行ではお互いに$15がチャージされます。これをとことんケチるのがアメリカ人の性質。
よって日常ではチェック(小切手)を流通させます。手数料がかかりません。しかしデメリットは不渡りを出されるケース。いざ受け取ったチェックを現金化しようと銀行に行ったら、「相手方の口座にお金が入っていないので、このチェックは無効ですよ」と言われてしまうパターンです。またはチェックを切った本人が自らの銀行に「やっぱりそのチェック、差し押さえて」とストップすることもあるので、やはりこちらは現金化できない。車両とタイトルを渡したけどお金が入らないのでは目も当てられない。相手が嫌がろうがめんどくさがろうが、車両を売る場合は「キャッシュオンリーで」としっかり伝えるといいでしょう。
またはどんなに手間と手数料がかかろうとも、一緒に銀行へ行き、振り込みを目の前で確認することをオススメします。
同様に自分が購入する際も現金での支払いを心がける。金額が大きい場合は出来るだけ友人などの第三者を交えて目の前でお金を数える。場所は人目があって、お金を数えていても安心な、銀行のロビーなどがうってつけです。