旧車はかけがえのない魅力と共に、旧さゆえのウイークポイントもたくさん持っています。100%オリジナルをキープして当時の郷愁に酔いしれる場合は不便も味ですが、現代の交通事情で過不足無く使いたい向きにとっては頂けない。ひとつひとつ改善を試みます。
が、手探り旧車ライフはまぁ失敗の連続。何せ根がド・ケチなものだからショップに頼るのは最終手段。出来るだけネットを先生にして自分の手を動かそうとしますが、だからと言ってメカ音痴だし、根本的に面倒くさがり。日々失敗の連続で、進行は牛歩のごとし。
そんな中、オルタネーターを交換してみました。
目次
S30Zの純正60A→高出力90Aに
旧車の低出力な発電機はウイークポイントの代名詞です。人によっては「ダイナモ」、「ジェネレーター」などと呼んだりしますが、ここではオルタネーターで統一します。
経年劣化による顕著な症状は、エンジン回転に連動してライトが明るくなったり暗くなったりすることでしょう。ウインカーを点けてもライトとインパネが暗くなります。
私のS30Zのヘッドライトはシールドビーム、インパネの豆球は劣化して元々とても暗いのですが、加えてアクセル開度と共にホヨホヨホヨ〜〜と揺らめく鬱陶しさといったらありません。
将来的にはヘッドライトをハロゲンに交換しメーター類もアップグレードしたいと思っているので、まずは根幹であるオルタネーターを新調することにしました。
また、電力が上がればライトの光量が安定するだけでなく、アイドリングや加速にも好影響とのこと。バッテリーの寿命にも繋がります。
さっそくイマドキの高出力モデルを探すことに。
キーワードは“IC”オルタネーター
L型エンジン用オルタネーターをネットで調べていると70A(アンペア)、80A、90Aと揃っているんですね。どうせなら景気よく90A行っちゃいましょう!
アップグレードするなら現代的な“ICオルタネーター”。IC式レギュレーターが内蔵されているタイプだそうです。旧いタイプはチリル式といってオルタネーターとレギュレーターが別体になっているもよう……ふむふむ。
それではコイツを購入するとして、問題は現在私のS30Zが持つオルタネーターがIC式かチリル式かということです。
もしチリル式だとすればICオルタネーターの装着に合わせてIC専用のハーネスキットを購入する必要があります。しないと壊れちゃうみたい。
ウデのある方は自分で配線を引いているようですが……私は絶対に無理。
愛車にどちらが付いているのかを見分ける方法は2つ。
●チリル式はオルタネーターの近くにレギュレーターの小さな箱が繋がっています。
●IC式はインパネにチャージランプが付いています。最近のクルマだとキーONで点灯するバッテリー印の赤いランプです。バッテリーが充電されない時に危険を知らせて点灯します。
私のZを見たところ、電圧計内にチャージランプがありました! そしてエンジンルームを探してもレギュレーターは見当たらない。どうやら私のS30Zには最初からICオルタネーターが付いている模様。これで別途ICハーネスキット(約5000円)を買わなくてよさそうです。お財布に優しいのが何より。
チャージランプに騙されて
L型エンジン用90A・ICオルタネーターはポチっと日本で購入。この辺の日本製品はアメリカでは高価だからです。
同じL型エンジン用でも車種によって違うのでしょう、ネットでのオーダーに際しプーリーのベルト溝幅と取り付けボルトの穴径を知らせる必要がありました。
私の場合はプーリーのベルト幅=12mm、取り付けボルト穴は8mmと報告。
日本出張時に持ち帰り、さっそくガレージで交換作業開始。
右が純正オルタネーター(1977年式280Z)、日立製。左がネットで購入した90A・L型エンジン用ICオルタネーター、NISSANのロゴ入り。
日立製の純正にはこんなプレートが。
“Made in Japan. Remanufactured in U.S.A. for Nissan Motor Corp. in U.S.A.”日本製。北米ニッサン用にアメリカで再生。
だからもしかしたら一度ディーラーで交換されたリビルト品なのかも知れませんが、ニッサン純正であることに間違いはありません。
その上には
“LT160-23B R”
と品番がふってある。さて、これが問題だったことは後述します。
160の“60”の部分は60Aの意味。
オルタネーターの交換自体は、私のようなドシロートでも何とかなりました。カプラーとコード類を外し、本体を入れ替えて、コード類を同じ位置に戻すだけ。カプラーの形状も同じ。一切の加工も要りません。
これから
これに。
さぁ電力アップ! パワーアップ! 税込み2万1120円(消費税8%時)は痛いですが、あのホヨホヨホヨ〜が解消されるのならば仕方ない。
キーを捻ってエンジンスタート!
アクセルON!
ホヨホヨが消えました。
……が……ん? その代わりチャージランプが点きっぱなし。
意味するのは、充電されていないということ。
そんなはずはない。ちゃんとL型エンジン用だし。ボルトオンで付いたし。
全く意味が分からないし。
必死にネットで同じような症状を探すも出てこない。
もしかして壊れてる?
う〜ん、散々悩んだあげく、結局は元の純正に戻すはめに……。
※電圧計はヒューズが飛んでて動きません。
輸出仕様はチリル式オルタネーターだった
右往左往あって、最後はジョーショーオートのトモさんに泣きつくいつものパターン。
するとこんな所にレギュレーターが隠れていました。
この衝立をネジ4本外した裏側。
ということは、1977年式北米仕様のS30Zはチャージランプを持ちながらチリル式オルタネーターを搭載していたのです。そのため日本仕様とは微妙に配線が違うかも知れず、例え先のICハーネスキットを購入したところで加工無しで取り付けられたかどうかは定かでありません。※日本仕様は間違いなく付くと思います。
「取りあえず今回は応急処置で」とトモさんが配線だけ簡単に組んでくれました。そして無事90A・ICオルタネーター化に成功! しかしヘッドライトは問題ないのに、なぜかインパネだけがまだホヨホヨしています。今後の課題です。
エンジンは調子よくなった気がします。
取りあえず凄くいい感じではあるので、しばらくホヨホヨは我慢します。
さて、例の純正オルタネーターに貼ってあった品番の
“LT160-23B R”
最初のLTの“T”はTirrill(チリル)を表すそうです。
ICの場合は“R”、つまりLRで始まるとのことでした。
PS. これから2ヶ月後、オルタネーターは充電しなくなりました。その原因とは……。
詳細は“S30Zのオルタネーターがたった2ヶ月で故障した……”にてご報告しております。